イヌビワとイヌビワコバチの不思議な関係 イヌビワオナガコバチの二重寄生 植物と昆虫の共生代表例 観察記録 ( 先に発表したHPには沢山間違いがありましたので訂正しましたが、まだまだ不明な点がありあります。) |
イヌビワ(クワ科イチジク属) 落葉小高木 雌雄異株 実のように見えるものは、実では無く花嚢(熟したものは果嚢)である。 雌木は熟すとイチジクの原種?のように花嚢が果嚢となり美味しく食べられます。 同科同属に「オオイタビ・イタビカズラ・ヒメイタビ」があります。 イヌビワは雌雄異株で花は開花せず、雌雄とも花嚢は出来るが雄株の花嚢はコバチの為に越冬する。 雄株の花嚢には雌花と雄花があり、雌株の花嚢には雌花のみがあるようです。 雄株の花嚢の中の虫嬰で越冬したコバチは翌年春から夏頃成虫となって交尾し、雌は花粉を付けて 飛び出し、雄株の新しい花嚢に入り(入るとき羽はもぎ取れる)、中の雌花の柱頭毎に数百個の卵を 産み付け、これが虫えいとなって越冬する。但し、オナガコバチは長い産卵管で外から中のコバチの 中えいの中の卵に産卵し、コバチを食べて生長する(二重寄生)。 これだけではイヌビワにとって何のメリットもないが、コバチの中には花粉を付けて雌株の花嚢にも入り 受粉させ、イヌビワは種子を作り繁殖するので共生が成り立っている。 但し、オナガコバチは中に入らないのでイヌビワにとっては迷惑な存在であると思います。 雄は憐れなもので雄株の花嚢の中で交尾した後は外へ出ることなく、一生を花嚢の中で終えて死ぬ。 植物であるイヌビワも昆虫であるイヌビワコバチもお互いに相手が存在しなければ生きていけない 共生関係にある。 観察出来たのは、8月17日果嚢を割ったとき沢山のオナガコバチの雌と数少ないコバチの雌が出てきたのと 10月26日花嚢の外にいた長い産卵管のオナガコバチの雌と中にいたコバチの雌であった。 それにコバチかオナガコバチか不明ですが羽の無い雄もいました。 11月3日再度オナガコバチが長い産卵管で花嚢に産卵する様子を見に行ったが見られず。 熟した果嚢の中にいたオナガコバチの雌と雄が観察出来た。 オナガコバチの雌はあの長い産卵管で外から中のコバチの卵をどうやって探し当てるのか不思議である。 2011年7月28日 甲山森林公園のある雄木の果嚢には大きなハチ?の幼虫が各1尾入っていてコバチ(又は オナガコバチ)の幼虫は全部食べられていました。 雄木なのか雌木なのかを見分けるポイント=冬季花嚢を着けているものは雄木で、着けていないものは雌木である。
2010年10月26日 西宮市甲山で観察した雄木の花嚢 |
雄株の花嚢 |
イヌビワコバチの雌が羽をもぎ取って入った跡 |
中に入ったイヌビワコバチの雌 |
産卵中?のイヌビワコバチの雌 |
イヌビワオナガコバチが外からイヌビワコバチが 産卵しているかどうか調べているようだ |
イヌビワコバチの卵に外から長い産卵管で 自分の卵を産卵するイヌビワオナガコバチの雌 |
2010年8月17日、前年から越冬した虫えいで一杯の果嚢 |
左の果嚢から出てきたオナガコバチの雌とコバチの雌 |
コバチの雌の大きさ約2mm |
オナガコバチの雌の大きさ約3mm+産卵管は約6mm |
コバチの雄のようだ 大きさ約1mm |
鋭い歯を持つオナガコバチの雄 2013年10月24日 |
2011年7月28日甲山森林公園の雄木の熟した果嚢 |
左の果嚢を割るとオナガコバチの雌と雄が沢山出てきた |
イヌビワコバチの巣立ちの瞬間 2011年8月11日 西宮市名塩の雄株の果嚢 |
コバチ・オナガコバチを捕食するハチ?の幼虫 雄木の果嚢に各1尾入っていて全部食べられていた。 |
雌木の花嚢の観察 |
雌木の花嚢 |
同左花嚢の受粉した子房、大きさは約1.2mm |
子房を割ると胚芽?が出てきた |
2010年10月26日甲山森林公園で採取した雌木の花嚢 この3枚の写真は当初、雄木の花嚢でイヌビワコバチの 越冬中嬰(虫こぶ)と思っていましたが、その後の観察で 雌木の花嚢の受粉した子房であることが判明しました。 左下の割割った子房の先に雌花の長い柱頭が見える。 |
2012年5月16日 宝塚市売布神社裏で撮影した雌木と雄木の花嚢、この時期に何故こんなに大きくなているのか? |
雌木の花嚢、先端の孔が小さい |
雌木の花嚢の中、子房がびっしり詰まっている |
左が雄木の花嚢、右が雌木の花嚢 |
雄木の花嚢の中 |
2012年9月12日 友人から雌木の果嚢を頂きました。雌木は少ないので挿し木をして育てようと思います。