オトシブミ の 観察記録

  2007年5月23日 大阪府+兵庫県+京都府 に 跨る 「深山」 へハイキング
       沢山の
「オトシブミ」の「ゆりかご」を見つけ、採取してきました。

 

  ハイキング道に落ちていた「オトシブミ」は3種類の木の葉を使っていました。(右上写真)
  「ファーブル昆虫記」や他の昆虫図鑑ではコナラ・クヌギ等のブナ科の葉を使うと書いて
  あったが「クリ」以外の「ネジキ=ツツジ科」や「クロモジ=クスノキ科」の葉を使っていた
  ことは大発見でした。同じ種類のオトシブミなのか成虫になるまで観察を続けることにする。
  「ゆりかご」作成中のオトシブミ君を探したが木が大きく見つけることが出来ませんでした。

  それぞれ葉をどのようにして巻いているのかオトシブミ君には悪いが「ゆりかご」をほどいて
  見ることにしました。3種類ともまったく同じ巻き方で大変精巧に作られていました。
          下の連続写真は一番大きい「ネジキ」の揺籃を解体したものです。
            最後に0.5mmほどの小さな卵が出てきました。



 クリの葉に産み付けられた卵 約0.5mm


ネジキの葉に産み付けられた卵 約0.5mm

左上は真新しい「ゆりかご」の卵  右上は少し古そうな卵(黒い部分は幼虫の「大あご」と思われる)       

 「ゆりかご」が乾燥しないように「ミズゴケ」
 の寝床を作りその上に寝かせた。
 1ヶ月ほど経てば 卵〜幼虫〜ゆりかごの葉
 を食べて〜蛹〜成虫になる筈だ。
 虫かごを二つに仕切りネジキとクリの揺籃、
 小さい虫かごにクロモジの揺籃を入れる。
以後1週間置き位に中の様子を観察する事と
する。どんな「オトシブミ」が出てくるか楽しみだ。


    5月29日、クリの葉の幼虫 約3mm


   5月29日、ネジキの葉の幼虫 約3mm


   6月6日2週間経過、大きくなりました。


    全長8mm、もう蛹になっています。


6月8日朝、採取から17日目にクリの揺籃から
羽化しました。以外に速い羽化にびっくり。



  同  左。 裏  全長約10mmでした。


 6月8日朝、クロモジの揺籃から羽化しました。
     全長約8mm、色は黒っぽい。



        同  左。 飛ぶ瞬間


      6月8日夕方ネジキからも、3種類の葉のオトシブミが羽化しました。(全部で8匹)
              ネジキの葉の成虫はさすがに大きい(約12mm)


6月8日、「緑の文化園むろいけ園地」での植物観察会の際、枝から落さない「エゴツルクビオトシブミ」
を見つけ採取してきました。 エゴノキの葉を巻いて造りますが他のオトシブミのように落さないでぶら
下げたままです。落さないから「オトシブミ」ではないが、これが本当の「ゆりかご」ですね。

可哀そうでしたが観察のため、二つのゆりかご
をばらして中の卵と幼虫を計測しました。
卵は極端に小さく幼虫は4mmくらいまで成長し
ていました。

今回は枝ごと採取したので、花を生けるように
花瓶に水を入れて葉が枯れないようにして観察
します。


 何の木か悩んでいましたが、NET検索で
 エゴノキの葉を巻く「エゴツルクビオトシブミ」
 であることが判明しました。
  

 6月10日(日)毎日3〜4匹が羽化し、孫へやった3匹も含め8匹を甲山のコナラの木に放しました。
          クリの揺籃のヌケガラを含め、 放す前に再度写真を撮りました。



        放虫前の親指姫


 甲山で出逢った山の葬式屋さん
               オオヒラタシデムシ

 6月11日今日もクリ・ネジキから6匹が羽化したので甲山森林公園のネジキの木に放しました。

 6月11日13時、花瓶に生けてあった「エゴノキの揺籃」に穴が開けられていたので羽化して飛び
 立ったのかと室内を探したが見当たらない。揺籃を解いて見ると蛹になる直前の幼虫が出てきた。
 「エゴツルクビオトシブミ」は幼虫の間に羽化したあと外に出るための穴を予め開けておくのか?。
 幼虫の顎は大きく歯も鋭いから先に開けておくのかも知れない。
                      もう一度、揺籃の中に入れてミズゴケの上に寝かせる。

6月12日、今日は京都市の小塩山で花の咲いている「エゴノキ」のオトシブミを撮影しました。

  今日6月17日の朝、6月8日採取したエゴノキの揺籃から「エゴツルクビオトシブミ」の♀が羽化しました。
  翌日、続いて♂が羽化しました。今までのオトシブミの中で一番小さく,♀6mm・♂7.5mmでした。
  17日♀は甲山の山中に放しました。


    翌日の18日朝、羽化したものです。


2010年6月25日 大阪府水無瀬の若山神社でエゴノキの揺籃を開けると中から蛹が出てきた。
次に蛹の中から別の幼虫が出てきた。これは蜂の仲間が蛹に産み付けたのではないでしょうか。


 同じ6月17日(日)孫との昆虫採取会で甲山

 山頂の小さな「ハリエンジュ」の木にたくさん

 の揺籃を孫が見つけました。これで「ネジキ」

 ・「クリ」・「クロモジ」・「コナラ」・「エゴノキ」「ハリ

 エンジュ」と6種類になりました。

 これも持ち帰り観察することにしました。

今日6月19日、西宮市社家郷山で採取したコナラの揺籃はとんでもなく大きかったので今までに
採取した6種類の揺籃を一緒に写真に収める事にしました。今日のコナラは4cmあり、前掲の
ハリエンジュは8mm位で大変小さく、標準は2cm位です。成虫の大きさもこんなに違うのかな?。

 6月21日、食卓のの花瓶に生けていたエゴ

 から羽化したエゴツルクビオトシブミの♂が

 エゴの葉を無心に食べていました。

 エゴツルクビが葉巻を落さない理由が判明。

 羽化して直ぐに新鮮な葉を食べられるように

 ぶら下げていたのだ。
          7月2日

「ヒメクロオトシブミ」の♀が羽化しました。

先月17日甲山山頂で採取した「ハリエンジュ」
の揺籃から2週間目に羽化しました。

足があめ色の半透明でネット検索の結果、
ヒメクロオトシブミと同定しました。

体長は6mm位です

撮影・計測の後、ハリエンジュの木に放しました。


 6種類の木の揺籃のうち、「ハリエンジュ」の揺籃の「ヒメクロオトシブミ」の羽化率は、
 揺籃5個に対し5匹の100%であった。 他の木の揺籃は何れも30%以下であった。


       この4匹も計測・撮影の後、近くのハリエンジュの木の若葉に放しました。

        羽化後何も食べていなかったので、よほどお腹が空いていたのか
           放すと直ぐに若葉を齧り始めました。(13時20分撮影)

7月6日(金)午後、6月19日社家郷山で
採取したコナラの揺籃3個の内1個から
「オトシブミ」
が羽化しました。

やはり3種類の中では「オトシブミ」
一番大きい。


この1匹も3日前ヒメクロオトシブミを放した  近くのハリエンジュの若葉に放しました。


ヒメクロオトシブミはどうしているのかな?
2匹までは確認したが暗くて写真は撮らず

7月7日朝、昨夜写真が撮れなかったので3日に放した「ヒメクロオトシブミ」の写真を撮る。
食み跡は4箇所(4葉)あったので、皆健在と思うが姿を確認できたのは3匹であった。
昨夜放した「コナラ」のオトシブミは、樹種が違ったので何処かへ飛んで行ってしまったようだ。

        ハリエンジュの若葉を食べる「ヒメクロオトシブミ」の成虫

    7月9日(月)13:15 ハリエンジュの「ヒメクロオトシブミ」追跡調査(羽化後6日目)
 @ ヒメクロオトシブミの確認は3匹、残り1匹の行方は不明。
 A 一つの卵(径約1mm)を確認ー揺籃を作らないで葉の裏に裸で産み付けられてている。
 B 1匹が食べ穴のある葉を丸めかかっているが揺籃を作ろうとしているのかどうか解らない。



5mmの親の卵にしては径1mmは大きすぎる
   何の卵か続けて観察する必要あり。

 
 自分の食べ跡のある葉を巻くだろうか?
    これも引き続き観察の必要あり。


穴だらけの葉ではとても揺籃にならないだろう。


  この子はまだ無心に葉を食べている。

              観 察 修 了

7月12日(木)1泊旅行からの帰り道の雨の中、ヒメクロ君を観察に行ったら何と
ハリエンジュの木(幹は昨年伐採され、脇から伸びたヒコバエ)が綺麗に刈り取ら
れていた。やはり香櫨園浜の大木に放すべきであった(観察は出来ないが)。

   
来年2月頃、成虫の越冬観察をしますのでそれまでお休みにします。

   7月17日(火)高槻市川久保渓谷でカラムシの葉「ヒメコブオトシブミ」を発見!

持ち帰り計測、体長:約6mm  特徴:足を除く全身は光沢のある黒、足と触覚は半透明のあめ色
                        後ろ足の太ももは光沢のある黒
 これで4種類(オトシブミ・エゴツルクビオトシブミ・ヒメクロオトシブミ・ヒメコブオトシブミ)を観察した。


大阪市立「咲くやこの花館」から夏のイベント「昆虫と植物の不思議な関係展」に
私のオトシブミの写真を使いたいとの依頼があり、一部の写真が展示されました。

                      2010年8月11日〜22日



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